訪日客数が過去最高を更新する中、旅行スタイルは多様化し、「手ぶら観光」という言葉を耳にする機会が増えてきました。観光地を身軽に巡り、ショッピングを思う存分楽しんだ後、購入した荷物を気にせず帰国できる――そんな夢のような体験を支えるのが、進化を続ける「国際配送サービス」です。
これまで荷物の持ち歩きは旅行者の悩みの種でしたが、今、この分野に大手物流企業から専門業者まで、さまざまな企業が続々と参入し始めています。彼らがなぜこの市場に目をつけたのか、その背景と最前線を探ってみましょう。
日本観光の特性と「荷物が邪魔」な理由
日本は訪れる人々にとって沢山の魅力を感じる場所であると同時に、荷物が邪魔になりやすいという独特な特性も合わせ持っています。
- 発達した公共交通機関での移動: 日本は電車、バス、タクシーといった公共交通機関が非常に発達しており、都市間の移動や市内観光にはこれらを活用するのが一般的です。しかし、朝夕のラッシュアワーの電車内や、観光客で賑わうバスの中は非常に混雑します。大きなスーツケースを持っていると、他の乗客の迷惑になるだけでなく、自分自身の移動も困難になり、大きなストレスを感じる原因になります。また、駅やバス停の乗り換え、タクシーの乗り降り時にも、大きな荷物は不便で手間がかかります。
- コインロッカーの数とサイズ制限: 主要な駅や観光地にはコインロッカーがありますが、特に大型のロッカーは数が限られており、常に満杯の状態であることも少なくありません。また、ショッピングで荷物が増えた際に、ロッカーに入りきらないという事態も発生しがちです。
- 「お土産文化」と「爆買い」: 日本は種類豊富なお土産が魅力で、訪日外国人観光客による「爆買い」は経済効果をもたらす一方で、持ち帰る荷物の量を劇的に増やします。化粧品、医薬品、アニメグッズ、食品、電化製品など、魅力的な商品が多すぎて、気づけばスーツケースに収まらない量の荷物になってしまうのです。
- 多言語対応の課題と自力手配の難しさ: 日本では荷物の配送や預かりサービスに関する情報を得ることが難しい場合があります。また、国際配送には送り状の記入、通関手続きに関する情報提供、そして料金の支払いなど、複雑なステップが含まれます。特に、英語が苦手な日本人スタッフが対応する店舗や施設では、海外からの旅行者にこれらの手続きをスムーズに案内するのが非常に難しい現状があり、それがシームレスな購買体験を阻害する要因にもなります。
こうした日本ならではの観光特性があるからこそ、「手ぶらで移動したい」「購入したお土産を楽に持ち帰りたい」というニーズは、他の国以上に高まっているのです。
なぜ大手物流企業が「手ぶら観光」に参入するのか?
ヤマト運輸、佐川急便、そして国際物流の雄であるDHL。これらの大手物流企業が「手ぶら観光」、特に国際配送に力を入れ始めたのは、決して偶然ではありません。そこには明確な理由があります。
- 観光庁による「手ぶら観光」推進とオーバーツーリズム対策: 国土交通省および観光庁は、訪日外国人旅行者の利便性向上と消費拡大を目指し、「手ぶら観光」を重点施策として推進しています。これは、公共交通機関の混雑緩和や、観光地でのストレス軽減を通じた高付加価値な観光に繋がる重要な取り組みです。特に、観光客が集中する地域でのオーバーツーリズム対策としても、荷物による混雑を緩和する「手ぶら観光」は非常に重要視されています。物流企業は、この国の政策に沿う形で、そのインフラとノウハウを提供することで、公共的な役割も果たしています。
- 桁違いの市場規模と成長性: インバウンド市場は、物流企業にとって見過ごせない巨大なビジネスチャンスとなっています。
- 2025年1-3月期の訪日外国人旅行は1,000万人越え、消費額は10兆円に達すると予測されており、その成長は著しいです。
- 特筆すべきは、訪日外国人旅行消費額の費目別構成比です。**「買物代」が29.3%を占め、「飲食費」の22.5%**を上回っています。日本の食文化が世界的に注目される中で、実際にはモノ消費の割合が依然として非常に高いことが明確になっています。
- 百貨店のインバウンド売上について前年割れが報道されていますが、これは2024年に極端な円安とコロナ禍からの回復が重なり、記録的な「爆買い」があった反動であると言われています。全体としての訪日外国人消費額、特に買い物代の総額は年々増加傾向にあり、好調を維持しています。百貨店では2026年の訪日客免税制度改定により影響を受けることが懸念されるものの、一般小売では更なる伸びが予想されており、この巨大なモノ消費の需要が、国際配送サービスの必要性を強く後押ししています。
- 2025年1-3月期の訪日外国人旅行は1,000万人越え、消費額は10兆円に達すると予測されており、その成長は著しいです。
- 新たな収益源と事業領域の拡大、ブランド価値向上: 宅配便市場が成熟期を迎える中、物流企業にとって新たな収益源の確保は喫緊の課題です。爆発的に成長するインバウンド市場は、既存の物流インフラとノウハウを最大限に活用できる魅力的なフロンティア。「手ぶら観光」は、単なる荷物輸送に留まらない、高付加価値のサービスとして大きな可能性を秘めており、企業のブランド価値向上にも繋がります。
国際配送の「難しさ」と「発送後のフォロー」
しかし、国際配送は単に荷物を運ぶだけではありません。特に発送後のフォローは、利用者、導入施設双方にとって非常に重要な要素です。きめ細やかなフォローを行うことで顧客獲得に繋がります。
- 通関手続きの複雑さ: 各国の関税、輸入規制は多岐にわたり、専門知識が必要です。不備があれば荷物が止まってしまうリスクもあります。これは、訪日客にとってサービス利用を懸念する大きな要因の一つです。
- 追跡と状況確認: 発送した荷物が今どこにあるのか、いつ届くのか。多言語での問い合わせ対応は必須です。高付加価値サービスとして、利用者がリアルタイムで情報を得られる仕組みが求められます。
- 破損・紛失時の対応: 万が一のトラブルが発生した際の補償や、迅速な対応が利用者の安心に繋がります。受取人側だけでなく、発送元の日本での対応が必須となり、店舗対応の負担増が大きな課題となります。
- 時差とコミュニケーション: 異なるタイムゾーンでのやり取りは、スムーズな情報伝達を難しくします。お届け先の情報不備、配達間違い、受取人不在、受取拒否などのトラブルが多く、利用者とのスムーズなコミュニケーション、事前配慮が重要となります。
導入施設と利用者のメリット
「手ぶら観光」サービスは、観光客だけでなく、導入する施設側にも大きなメリットをもたらします。
- 利用者(観光客)のメリット:
- 身軽な移動と高付加価値な体験: 観光地や公共交通機関での移動が格段に楽になり、旅の満足度が向上。荷物の心配なく、より深く日本の文化や体験に没入できる高付加価値な観光が実現します。
- ショッピングの自由度向上: 荷物の量を気にせず、お土産や高額商品を心ゆくまで購入できる。手で持って帰ることのできない大きな商品や重たい商品など買い物の利便性が飛躍的に高まります。家族や親戚、友人などへのまとめ買いにも便利。
- 時間の有効活用: コインロッカー探しや荷物預けに時間を取られず、観光に集中できる。
- 身軽な移動と高付加価値な体験: 観光地や公共交通機関での移動が格段に楽になり、旅の満足度が向上。荷物の心配なく、より深く日本の文化や体験に没入できる高付加価値な観光が実現します。
- 導入施設(ホテル、商業施設など)のメリット:
- 顧客満足度向上と高付加価値化: 利便性の高いサービス提供で、リピーター獲得や口コミに繋がり、施設の顧客満足度アップに貢献します。
- 業務効率化: これまで負担だった荷物関連の業務をアウトソースできるため、スタッフは本来の業務に集中できます。
- 売上向上: 観光客の購買意欲を高め、販促ツールとして売上増に貢献。シームレスな購買・配送体験が、さらなるファン獲得を喚起します。
- 競合との差別化: 付加価値の高いサービスを提供することで、他施設との差別化を図れます。
- 発送後のフォロー負担軽減: 大手物流企業の場合、発送後の問い合わせやトラブル対応は基本的に宿泊施設や商業施設の責任となることが多いため、多言語での対応や手続きが大きな負担となることがあります。一方、専門サービスは発送後のフォローまで一貫して担うため、サービス導入施設側の負担も大幅に軽減され、販売のみに集中することができます。
- 顧客満足度向上と高付加価値化: 利便性の高いサービス提供で、リピーター獲得や口コミに繋がり、施設の顧客満足度アップに貢献します。
主要サービス比較:大手物流 vs. インバウンド専門
では、具体的に各社はどのようなサービスを提供しているのでしょうか?
大手物流企業(ヤマト運輸、佐川急便、DHLなど)
ヤマト運輸、佐川急便、DHLといった主要物流企業は、日本国内外に張り巡らされた既存の強固なネットワークと長年培ってきた高い信頼性を活かし、国際配送サービスを展開しています。
- 強み: 全国各地にある拠点からの発送受付、オンラインでの送り状作成システム、多言語対応といった利用者の利便性向上を追求した仕組みが充実しています。DHLは世界220以上の国・地域へのドア・ツー・ドア配送を可能にし、2024年に842億億ユーロの売上高を記録していることからも、その国際的な事業規模の大きさがうかがえます。免税対応との連携も強化されています。
インバウンド向け国際配送の専門家:TUMOCA Express(ツモカエクスプレス)
TUMOCA Expressは、大手とは異なる切り口で、インバウンド市場の深いニーズに応え、観光の高付加価値化に貢献しています。
- 強み:
- 導入費・固定費ゼロ: TUMOCA Expressの導入には、初期費用や月額固定費が一切かかりません。また、**不要なアプリやPC、プリンターなどの特別な機器を設置する必要もありません。**これにより、初期投資のリスクを抑え、手軽にサービスを導入できます。
- 旅行手荷物・購入品の国際配送サービス: 旅行中に増えた手荷物やお土産などの購入品、あるいは不要となったかさばる衣類などを、ホテルや商業施設から直接、利用者の母国へ国際配送します。観光客は旅の最後まで身軽に移動でき、より多くのショッピングを楽しむことができます。大手物流企業では一般的に旅行手荷物の国際配送は取り扱っておらず、この点がTUMOCA Expressの大きな強みです。
- 商品登録等の手間が不要: TUMOCA Expressは、荷物の検品から通関書類の作成まで全てを代行するため、店舗側で複雑な商品登録作業を行う必要がありません。季節商品の入れ替えが多い店舗や、多忙なスタッフにとって大きなメリットとなり利便性向上に繋がります。消費者ニーズに合わせた素早い商品展開を行う店舗にはうってつけのサービスと言えるでしょう。
- きめ細やかな発送後のフォロー: 発送後の荷物の状況確認や通関手続き、万が一のトラブル発生時の対応まで、一貫して専門スタッフがきめ細やかにフォローします。これにより、利用者だけでなく、導入施設側の負担も大幅に軽減されます。
- 現場のニーズに合わせた連携システムを構築: ホテルチェーンや大規模商業施設との提携実績が豊富で、スムーズな連携システムを構築しています。
- 利便性の高いUI/UXと購買意欲の高い富裕層への対応: スマートフォンでのQRコード読み取り、多言語対応、オンライン決済など、外国人観光客がストレスなく利用できる仕組みは、利用者の利便性を向上させます。また、発送日指定、オーダーメイド商品(メガネ・スーツ)、取り寄せ商品など、個別のニーズにも柔軟に対応し、購買意欲の高い富裕層にも喜ばれるため、高額商品の購入を促す効果も期待できます。免税品の配送にも対応することで、旅の終盤までシームレスな安心を提供します。さらに、これらの強みを活かし、越境ライブコマースなどのサービス拡大にも積極的に取り組んでいます。
- 導入費・固定費ゼロ: TUMOCA Expressの導入には、初期費用や月額固定費が一切かかりません。また、**不要なアプリやPC、プリンターなどの特別な機器を設置する必要もありません。**これにより、初期投資のリスクを抑え、手軽にサービスを導入できます。
比較のポイント:
- 大手物流企業は、巨大な市場規模とさらなる需要拡大の確実な実現性を見据え、自社のインフラを最大限に活用して事業を拡大しています。
- TUMOCA Expressのような専門サービスは、特定の**ニーズ(特に旅行手荷物や購入品の国際配送)**に特化し、導入施設にとっての業務効率化と付加価値向上に深く貢献しています。自力手配が難しい外国人観光客や、英語対応に課題を抱える日本人スタッフ双方にとって、シームレスなサービス提供を可能にする、非常に心強い存在です。「販売機会損失を減らす」新たな販促ツールとして、「今どうしても買いたい」叶えるお助けサービスとして様々なニーズに応えます。
まとめ
現在、観光業界・物流業界における人手不足は深刻化しています。このような状況下では、いかに「消費者が求めるレベルのニーズとは何か?」をしっかりと見極め応え、かつ導入施設の価値を最大化できるかが重要です。国際配送サービスは、単なる荷物運びではなく、持続可能なサービス提供を通じてWin-Win-Winの関係をサイクルさせる新たな鍵となります。
特に、荷物が目的地に届くまでの最後の区間を指す「ラストワンマイル」という発想は、単に消費者への配送だけでなく、物流に関わる全ての人々(現場スタッフ、配送ドライバー、システム管理者など)の負担軽減や効率化を考慮し、注力する必要があります。
日本の観光産業がさらなる発展を遂げるために各社の強みが融合され、より包括的でシームレスなサービスが提供される日はそう遠くないでしょう。
▶︎日本と世界の架け橋に。TUMOCA Expressはあなたの思いを世界に届けます。